episode.8 恋セヨ乙女たち

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パンツスタイルだと彼女の脚の長さが良く分かる。 隣に並んで歩くのが嫌になる。 女子としては背が高い為か、ふとした拍子に男子に見える瞬間があったり。 ほら、その流し目は特に反則だよ。 「それにしても、やっぱり鹿島ちゃんの服装可愛いよね〜。 レースにショーパンとか、僕には絶対に似合わない 」 妙な違和感が胸の辺りを通り過ぎる。 はて、今のは聞き違いだったのかな。 目をパチパチと瞬きさせるが、周さんは何事もなかったように「このちっこい背がまた可愛いなぁ〜」と、私の頭をポンポンと叩いた。 頬を染めて、思わず頭をすくめる。 「周さんこそ、背が高くてカッコよくて、そんな服も似合っちゃうんだからビックリしたよ 」 「僕、170あるからね。 全然可愛くないから、こうゆう格好の方が楽なの。 こうやって並んでると、なんかカップルみたいだね〜 」 「それ、シャレになってないよ〜」 おちゃらけて笑う彼女に、私は慌てて反論する。 やっぱり、確実に〝僕〟と言っている。 学校での彼女の一人称は、〝私〟だったはず。 そして、さっきの女の子たちが、女顔の男子だと話していたことを思い出してしまった。 少なからず、中性的な容姿であることは間違いないのだから、〝僕〟と言われるとやけに似合いすぎて困惑してしまう。 あまり気に留めていない様子で、彼女は「あははっ」と笑っていた。 これが、本来の彼女の姿なんだろうか。 それから、私たちはタピオカを買って雑貨店に入った。 花柄のシュシュやパール・貝殻モチーフのヘアピンを、私の髪に当てながら楽しそうにする彼女を見て、本当に恋人同士に見えているのではと少し照れくさくなった。 普段とどことなく雰囲気が違う彼女に、少しばかり調子が狂った。
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