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パンツスタイルだと彼女の脚の長さが良く分かる。
隣に並んで歩くのが嫌になる。
女子としては背が高い為か、ふとした拍子に男子に見える瞬間があったり。
ほら、その流し目は特に反則だよ。
「それにしても、やっぱり鹿島ちゃんの服装可愛いよね〜。 レースにショーパンとか、僕には絶対に似合わない 」
妙な違和感が胸の辺りを通り過ぎる。
はて、今のは聞き違いだったのかな。
目をパチパチと瞬きさせるが、周さんは何事もなかったように「このちっこい背がまた可愛いなぁ〜」と、私の頭をポンポンと叩いた。
頬を染めて、思わず頭をすくめる。
「周さんこそ、背が高くてカッコよくて、そんな服も似合っちゃうんだからビックリしたよ 」
「僕、170あるからね。 全然可愛くないから、こうゆう格好の方が楽なの。 こうやって並んでると、なんかカップルみたいだね〜 」
「それ、シャレになってないよ〜」
おちゃらけて笑う彼女に、私は慌てて反論する。
やっぱり、確実に〝僕〟と言っている。
学校での彼女の一人称は、〝私〟だったはず。
そして、さっきの女の子たちが、女顔の男子だと話していたことを思い出してしまった。
少なからず、中性的な容姿であることは間違いないのだから、〝僕〟と言われるとやけに似合いすぎて困惑してしまう。
あまり気に留めていない様子で、彼女は「あははっ」と笑っていた。
これが、本来の彼女の姿なんだろうか。
それから、私たちはタピオカを買って雑貨店に入った。
花柄のシュシュやパール・貝殻モチーフのヘアピンを、私の髪に当てながら楽しそうにする彼女を見て、本当に恋人同士に見えているのではと少し照れくさくなった。
普段とどことなく雰囲気が違う彼女に、少しばかり調子が狂った。
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