episode.8 恋セヨ乙女たち

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上映時間10分前。 映画館の売店でハニーチョコ味のポップコーンを買って、私たちは会場内へ足を運んだ。 最後列の真ん中に座る。 予告が流れ始めると、私は小さな声で話しかけた。 「周さんって、中学生の時から料理部だったの? 」 「中学の時は、バレー部だったんだ。 何を血迷ったのか、高校入って突然料理部! 」 「確かに、背が高いからバレー部って納得 」 きっと有力な選手だっただろうに、どうして続けなかったのだろう。 タピオカを飲みながら、私は黙って話の続きに耳を済ませる。 「最初の頃は後悔したけど、今は料理部にしてよかったって思ってる。 料理がもっと好きになったし、みんなに出会えたから。 1番は鹿島ちゃんにね 」 耳元で囁かれ、不意打ちにドキッとしてしまう。 女の子なのに見た目が中性的だからか、こんな絡み方をされると反応に困ってしまう。 「周さんや料理部のみんなと出会えて、私も幸せだよ 」 彼女の顔が見れなくて、スクリーンを見ながら笑みを浮かべた。 結局、いつも聞きたい肝心なことは聞けない。 でも、楽しいから今はいいかな。 そう思った時、周さんが更に近寄って私に耳打ちをする。 「鹿島ちゃん、星名湊と仲良いよね? 」 その名前を聞いただけで、私の頬は一瞬にして熱を帯びた。
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