episode.8 恋セヨ乙女たち

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小さく縦に首を動かすのを確認すると、周さんは少し低めの声色で言う。 「星名くんのこと、好き? 」 「えっ、えっと…… 」 急に真面目な声で質問をするから、言葉に詰まった。 どう答えたらいいのか、戸惑ってしまう。 横顔の彼女を盗み見るように、私は少しだけ隣に視線を送る。 凛々しい表情で、彼女は真っ直ぐスクリーンを見つめていた。 「ただの友達なら、その方がいいんだけど 」 「それって……どういう意味? 」 ーー湊くんは、誰とも付き合わない。 その言葉が脳裏を(よぎ)り、心拍数が上昇する。 「星名くんは…… 」 予告と上映マナーの注意事項が終わり、薄暗かった辺りは暗闇の世界となった。 「また後でね」と、周さんは口を閉ざし、始まった映画を見だした。 マナーとして当たり前の行動で、私も黙ってスクリーンへ目を向けた。 要所要所に笑いやハッとするシーンがあり、見応えがあった。 クライマックスのシーンはとても感動した。 大好きな恋愛映画だったのに、全力で集中することが出来なくて、頭はすぐに湊くんのことを考えようとしていた。
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