124人が本棚に入れています
本棚に追加
それから、私たちは海で水を浴び、砂浜でビーチバレーをして、屋台の焼きそばとかき氷を食べた。
想像以上に楽しくて、来て良かったと心から思えた。
「いやぁ〜、ビーチバレー楽しかった! 最高だったよ 」
「樹が言うと変態おやじに聞こえるのは気のせい? 」
「マシュマロボディーに鼻の下伸ばしてたもんね……樹くん 」
「そーんなわけ……えっ、樹くん? 」
一瞬思考が止まったように、下津くんが固まった。
比茉里ちゃんが名前で呼んだことを、聞き逃さなかったみたい。
正直、私も驚いている。
「この機会に仲良くなったってことで……だめ? ほら、せっちーも名前呼び捨てだし 」
照れ隠しなのか、彼女は口を少し尖らせて視線はそっぽを向いている。
「いや、ちょっとびっくりしただけ。 嬉しいよ 」
胸を撫で下ろすように、彼女の表情は晴れやかになった。
比茉里ちゃんにとっては、下津くんの言葉が魔法なんだ。
恋は風船のように、私たちの気持ちをふわふわとどこまでも連れて行ってくれる。
青い空を飛んで雲の上も越えていく。
強くなれるし優しくあれる。
だけど、時には傷付いてパンッと割れてしまう事もある。
いつかその日が来るかもしれない。
でも今は、彼と一緒にいられるだけで幸せだった。
最初のコメントを投稿しよう!