episode.9 夏の秘密

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「さっきググってみたけど、結構ランク上位の旅館じゃない。 あんたたち、お金大丈夫? 」 「大丈夫じゃないかも……瀬崎さんは、大丈夫そうだね 」 「さすがに、これはアウトよ。 なんで高校生の分際(ぶんざい)でこんな良い旅館を予約したのか、彼の神経を疑うわ 」 素の性格をみんなに知られてから、瀬崎さんは開き直ったように毒舌が絶好調だ。 そして、彼と下津リゾートとの関係には気付いていないようで少しホッとした。 彼の両親のご好意で、ここは特別に無料で泊まれると聞いていた。 こんな敷居の高そうな場所に泊まる事なんて、これから先ないかもしれない。 「知り合いから貰った宿泊チケットが余っていた」と、下津くんから説明している。 彼の家庭事情を知っているから少し胡散臭(うさんくさ)く聞こえたけど、何も知らない彼女たちは意外とあっさり受け入れていた。 温泉は「女神の湯」と題されたビーナスや天使が天井に描かれてた神殿のような造りの空間と、「天女の湯」と言う乳白色の湯が特徴で天女の羽衣(はごろも)をイメージさせる美しい浴槽があった。 神秘的な空間で疲れを癒し、私たちは羽を伸ばした。
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