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魂が抜けたような顔で8組の教室を出ると、比茉里ちゃんにグイッと腕を引かれた。
「結奈ちゃん、早く裏庭行こう! 」
その気迫に押されながら、私は慌てて彼女の後に続いた。
お昼の時間は、いつも裏庭で昼食を取っている。
ベンチに腰を下ろし、弁当箱を開けながら、比茉里ちゃんは待ちきれんとばかりに声を上げた。
「さっきの三原さんの話、聞こえてた? 」
卵焼きを口にしながら、私はゆっくり頷いた。
比茉里ちゃんにも、聞こえてたんだ。
渡したのが私だってこと、他の人に知られてたら嫌だな。
「やっぱり、藤波はサイテーな男だった! 前からそうだと思ってたけど、本当に最低・クズ・ゲス男! 」
溜まっていた鬱憤を晴らすように、比茉里ちゃんの言葉はエスカレートしていく。
私は何も言えなくて、黙ってもぐもぐと口を動かすしかなかった。
「女子に点数付けてたんだよ? 1年の時からクズだったんだよ、アイツは 」
「点数……そんなことあったんだね 」
「後期は席が近かったから、休み時間に男子が話してるの聞こえてたの。 あの時から気に入らなかったけど、さっきの話聞いたら腹が立って仕方なくて! 」
怒りを抑えられないように、比茉里ちゃんは暴言を吐き続けた。
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