episode.1 出会いは突然に

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彼が家庭科準備室を出たあと、私は複雑な思いで調理室のドアを開けた。 優しくて素敵な人だったな。 藤波くんとは、違う。 すでに活動の準備を始めていた周部長が、驚いた顔をして私に近寄ってきた。 「鹿島ちゃん、すごく異様なオーラをまとってるけど、大丈夫? 」 「それが、大丈夫じゃないんです。 でも、気にしないで 」 薄っぺらい笑みを浮かべて、私はいつも使う席へ着いた。 これ以上、クッキーは思い出したくなかった。 残り数名の生徒と顧問の柘植(つげ)先生が入ってきた。 「はーい、みなさん注目。 眠そうな顔・暗い顔も、気を取り直して聞いて下さい! なんと! 『高校料理部 スイーツコンテスト』一次審査通過しましたぁ! おめでとうーっ! 」 自分で拍手するテンション高めの拓殖先生に、みんなが騒つき始めた。
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