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空白の座席を元の位置に戻す暇もなく、続けて3人の男子生徒がやって来て私の周りに腰を下ろした。
よりによって、苦手な男子に囲まれてしまうなんてツイてない。
男子が嫌いなわけではないけれど、どう接していいのか分からない。
緊張してあまり上手く会話が出来ない。
小学生の頃は、男女問わず仲の良い子が多かった。
でも、中学へ上がって異性とほとんど話さなくなってしまった。
高校生になっても、必要最低限の言葉しか交わしたことがない。
消極的な自分は卒業して、みんなと楽しい高校生活を送りたいと思って3年。
結局、何も変われないでいた。
電車に揺られる私の視線は、さっきから、前に座っている男子のズボンに向いている。
彼らの会話が、研ぎ澄まされた私の耳を通過していく。
別に聞きたいわけじゃない。
聞こえるから仕方ないの。
どこを見ていたら良いのか分からず、ただ、「早く降りてくれないかな」と、ずっと考えている。
だって、向かい前からずっと視線を感じているから。
目を泳がせて、男子生徒のズボンから窓の外へ目線を変えた。
緊張と怖さで、前を向けない。
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