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隣で足組みをする比茉里ちゃんに数学のノートを見せながら、視線はチラッと彼を捉えていた。
タイミング良く彼と目が合ってしまい、私は慌ててノートへ視線を下ろす。
こっちを見ていると思わなかったから、ドキドキしてしまった。
電車を降りるまでの間、私は彼の方を見ることが出来なかった。
空泉高等学校前駅を降りて、徒歩2分の場所に空高はある。
比茉里ちゃんと雑談をしながら、生徒で溢れる校門をくぐった。
「結奈ちゃんってさ、もしかしてまだ藤波くんのこと好きなの? 」
彼女の唐突な質問に、ギクリと肩を動かす。
「最近、やたらぎこちない気がするけど、あれって、藤波くんが同じ車両に乗り始めてからじゃない? 」
さすが、比茉里ちゃんは鋭い。
彼女とは1年生からの付き合いで、一番仲良が良い親友。
唯一、私が藤波くんの事を気になっていると知っている存在。
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