episode.1 出会いは突然に

5/22
125人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
隣で足組みをする比茉里ちゃんに数学のノートを見せながら、視線はチラッと彼を捉えていた。 タイミング良く彼と目が合ってしまい、私は慌ててノートへ視線を下ろす。 こっちを見ていると思わなかったから、ドキドキしてしまった。 電車を降りるまでの間、私は彼の方を見ることが出来なかった。 空泉高等学校前駅を降りて、徒歩2分の場所に空高はある。 比茉里ちゃんと雑談をしながら、生徒で溢れる校門をくぐった。 「結奈ちゃんってさ、もしかしてまだ藤波くんのこと好きなの? 」 彼女の唐突(とうとつ)な質問に、ギクリと肩を動かす。 「最近、やたらぎこちない気がするけど、あれって、藤波くんが同じ車両に乗り始めてからじゃない? 」 さすが、比茉里ちゃんは鋭い。 彼女とは1年生からの付き合いで、一番仲良が良い親友。 唯一、私が藤波くんの事を気になっていると知っている存在。
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!