episode.3 不敵な嫉妬

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片付けを終えた14時、私たち3人はお昼休憩を取っていた。 今現在、作品は審査されていて、15時半には結果が分かる。 審査員は、有名なスイーツ専門店のパテシエや調理専門学校の講師など4名で行われている。 やれるだけの事はやったし、結果がどうなっても悔いはない。 入賞したら、『星名くんと、もっと仲良くなれる』というジンクスの為にも、いい結果を残せたらと良いけど。 さっき撮ったケーキの写メを、私は湊くんに送った。 『こんな感じで、さっき作り終わりました! 今お昼休憩で、あとは結果を待つのみです』 こんな日記みたいな文章を送られて、男の子って返事に困るかな。 彼女気分で気持ち悪いって、思われるかな。 返事がこなかったらどうしよう。 送信した後に、不安になっても後の祭り。 それから、何度かスマホを確認してみたけど、湊くんからの返信はなかった。 既読にもならない。 日曜日だから、どこか出かけてるのかな。 すぐに見てもらえないのなんて、当たり前なのに。 マイナスな方向ばかりを想像してしまう自分が嫌だった。 休憩が終わり、コンテストの参加者が会場に集められた。 いよいよ、緊迫した結果発表の時が訪れた。 「今年は、昨年よりも優れた作品が多く、審査も難航しました。 どの高校がグランプリを取ってもおかしくないような、素晴らしいケーキばかりでした 」 審査員の代表であるスイーツ専門店のパテシエの話を、皆は固唾を呑んで聞いていた。 「そして今回は、審査員特別賞を設けることとなりました 」 その言葉に、会場が騒ついた。 「珍しいね。 この際、何でもいいから賞に入れると良いね 」 私たちはヒソヒソと話しながら、息を凝らす。 「審査員特別賞、旭ヶ丘高等学校 」 周りに喜びと落胆のため息が静かに響いた。 「準グランプリ、暁月山高校 」 隣に立っていた学生たちが、高い声を上げて飛び跳ねた。 「第12回高校料理部スイーツコンテストグランプリは…… 」
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