episode.3 不敵な嫉妬

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私は、出来る限りの笑顔を作った。 「でも、みんな精一杯やったんだ。 いい思い出になったよ 」 面倒な女と思われたくなくて、気丈とした態度を演じた。 本当は、泣きたい気持ちもあった。 入賞したかったけど、それだけが大事なわけじゃないのも、分かっていた。 「じゃあ……結奈ちゃんには、僕が特別賞をあげるよ。 ほんとによく頑張りました 」 そう言って、湊くんは私の頭をポンっと触った。 それから、私の髪に優しく触れて、そっと耳にかけた。 触れられた頭と耳は、一瞬にして熱を帯びた。 心臓の音が、町中に響いているのでは、と思う程大きくなっていた。 王子のような湊くんの顔が近すぎて、私は硬直した体をそのままに、視線だけが泳いだ。 耳元でパチンと音が鳴り、ふと我に返る。 違和感を感じて、そっと髪に手を伸ばすと、髪飾りが付けられていた。 「ほんとは、お菓子のお礼なんだけどね。 クッキーもケーキもおいしかったよ。 結奈ちゃんって、料理上手だよね 」 「ありがとう……すごく嬉しい 」 嬉しさを(こら)えきれず、私は緩む唇を恥ずかしく思って手で(おお)った。 ーーあなたが好きです。
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