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「その星名くんって人は、頭が良くてカッコよくて、女の子から人気があるんだよね? それなら尚更、好きになっても意味がないって言うか……それこそ、叶わない恋になるんじゃないかな 」
「そうかもしれないけど、今のところ星名くんの浮いた噂って聞いたことないし。もしかしたら……ってこともあるじゃん! 」
下駄箱で靴を履き替えながら、比茉里ちゃんは興奮気味にはしゃいでいる。
「もし、好きになっちゃったら仕方ないとは思うけど。 接点もないし、特には…… 」
あまり乗り気じゃない私の反応に、彼女はようやく目を覚ましたのか、「そうだよね」と、急に大人しくなった。
「好きになることを、強要するみたいに言ってごめん 」
彼女は、申し訳なさそうに眉を下げた。
「特に気にしてないから 」
その話題はやめて、私たちは昨夜のドラマの話をしながら、教室へと向かった。
英語の授業は、たまに先生の声が遠のいて行く。
窓の外を眺めながら、今朝の話が頭の中を悶々と駆け巡っていた。
比茉里ちゃんは、どうしてあんなに藤波くんのことを諦めさせたいのかな。
今までもこれからも、彼とどうこうなりたいという思いはないの。
付き合いたい、デートをしたい、そんな事は特に考えていない。
ただの片思いでいいの。
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