episode.5 宣戦布告

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「結奈ちゃんに避けられてるってしょげてたから、理由は知らないけどちゃんと話してやってねー 」 そう笑って、下津くんは涙を流すジェスチャーをした。 あんな風に逃げ出してしまった後、さらにバレッタを紛失して合わせる顔がない。 どんな顔をして話したらいいんだろう。 湊くんが気にしていると知って、軽率な行動をしたと申し訳なく思えて来た。 「湊くんって、美術室にいるかな 」 「部活だろーし、いると思うけど 」 「ありがとう。 ちょっと行ってきます 」 下津くんが小さく手を振る姿を見てすぐに、小走りで美術室へ向かった。 駆け足で階段を上がっていると、突如、上の階から駆け下りて来た人が視界に入った。 危ないと思った瞬間にはぶつかっていて、その反動で互いに尻餅(しりもち)をついた。 「すみませんっ! 」 慌てて体を起こして、その人を見る。 不服そうな表情で、瀬崎さんがゆっくりと腰を上げた。 スカートを払いながら、彼女はぷんっとした態度で私を見る。 彼女の足元には、昼間に見たバレッタが落ちていた。 それはどう見ても、私の物と同じに見えた。 たまたま、同じ物を持っていたのかもしれない。 とりあえず確かめたくて、バレッタを拾おうと手を伸ばした。 すると、私より先に、長い指がスッとそれを拾い上げた。
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