episode.6 笑顔の報酬

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落ちる!逃げなければ、と思った瞬間には、誰かに脇を抱えられるように後方へと倒れ込んでいた。 それとほぼ同時に、屋根の一部が、目の前の地面に叩きつけられるように落下した。 私の顔は一瞬で青ざめ、今起こったことに対して身震いを感じた。 誰かに抱き抱えられていることを思い出して、私はすぐに体を上げた。 「間に合った…… 」 そう荒い息遣いで、私を支えてくれていたのは湊くんだった。 彼は少し顔を(ゆが)めてら左肘(ひじ)を触った。 「湊くん、もしかして怪我したの?! 大丈夫?! 」 彼の腕に触ると、七部丈にまくられたジャージから覗く膝に、血が(にじ)んでいるのが見えた。 「(かす)り傷だよ。 それより、結奈ちゃんは怪我ない? 」 そう微笑んだ湊くんを見て、何故か胸が切なくなった。 彼は私の手を包み込むように取ると、ゆっくりと立ち上がらせてくれた。 「結奈ちゃん、足が切れて…… 」 「湊くんは、どうしてそんなに王子さまなの? 」 彼の言葉に被せるように、私は心の声を出していた。 彼は少し戸惑ったような表情で、なんと答えていいのかと言うように目を空へ向けた。
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