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本殿の両脇には、龍神である狛龍が置かれている。
心を清らかにして、私は手を合わせた。
御神籤を引き、お姉ちゃんは御守りを買っていた。
帰り際に、御朱印帳を持った人と何度かすれ違った。
それが、テレビ効果なのかは分からないが。
昼下がりの15時。
家に着いた私は、手帳に挟んでいたおみくじを取り出した。
白髭神社にある白龍の未來みくじ。
良い結果が出た時は、願いを託し木に結ぶ。
悪い結果が出たら、自らの懐へ入れて持ち帰ると、その悪運を回避できると言われているらしい。
お姉ちゃんの言うがまま、手元に残してしまったけど、これで良かったのか未だに半信半疑だ。
〝未來〟と付いている割には、内容は至って普通。
正直、その辺のおみくじとあまり大差は無いように感じた。
「凶のおみくじはめでたいんだよ。 大吉より数が少ないっていうから。 凹んだとこから芽が出るってね 」
こじつけにも聞こえるけど、プラス思考になればそうなのかもしれない。
体中の精気を吸い取られたように、ドサッとソファーへ倒れこむ。
「失くし物かぁ…… 」
なんとなく、おみくじに書かれている和歌を目でなぞる。
ーー散る花は また来ん春も咲ぬべし 別れはいつか巡りあふべき
どんな意味なのかよく分からず、私は小さく折り畳んで手帳のポケットに戻した。
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