episode. 11 未來みくじ

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本殿の両脇には、龍神である狛龍(こまりゅう)が置かれている。 心を清らかにして、私は手を合わせた。 御神籤(おみくじ)を引き、お姉ちゃんは御守りを買っていた。 帰り際に、御朱印帳(ごしゅいんちょう)を持った人と何度かすれ違った。 それが、テレビ効果なのかは分からないが。 昼下がりの15時。 家に着いた私は、手帳に挟んでいたおみくじを取り出した。 白髭神社にある白龍の未來(みらい)みくじ。 良い結果が出た時は、願いを託し木に結ぶ。 悪い結果が出たら、自らの懐へ入れて持ち帰ると、その悪運を回避できると言われているらしい。 お姉ちゃんの言うがまま、手元に残してしまったけど、これで良かったのか未だに半信半疑だ。 〝未來〟と付いている割には、内容は至って普通。 正直、その辺のおみくじとあまり大差は無いように感じた。 「凶のおみくじはめでたいんだよ。 大吉より数が少ないっていうから。 凹んだとこから芽が出るってね 」 こじつけにも聞こえるけど、プラス思考になればそうなのかもしれない。 体中の精気を吸い取られたように、ドサッとソファーへ倒れこむ。 「失くし物かぁ…… 」 なんとなく、おみくじに書かれている和歌を目でなぞる。 ーー散る花は また来ん春も咲ぬべし 別れはいつか巡りあふべき どんな意味なのかよく分からず、私は小さく折り畳んで手帳のポケットに戻した。
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