episode.2 友達になりたい

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この人のペースに付いていけない。 息をゆっくり吸って吐いて、私はなんとか胸を落ち着かせた。 「血の気の無いような、爽やかな顔してるけどさぁ……アイツも普通の男だからね。 頭の中は、分かんないよー? 」 下津くんは、不適な笑みを浮かべて、シャーペンを指で回した。 「星名くんは、そんな人じゃないです。 そうゆうこと……言わないで下さい 」 段々と声が小さくなっていく。 またムキになって、言い返してしまった。 男の子を相手に、こんな態度を取ったのは初めてだった。 私は、何を必死になっているんだろう。 「ふーん。 まあ、湊のこと買い被るのは自由だけど。 結奈ちゃんてさぁ、知り合ったばっかりでしょ? まだ、アイツの10分の1も知らないと思うけど 」 悪魔は、穏やかにほくそ笑む。 それ以上、言葉が出なかった。 確かに、私より下津くんの方が何倍も星名くんのことを知ってる。 「率直に聞くけどさぁ、結奈ちゃんって湊のこと好きなの? 」 先程までのふざけた感じとは打って変わり、彼は真顔になった。 その真剣な眼差しが、妙に怖く感じた。 星名くんは、素敵だと思う。 もっと知りたいとも思う。 これが好きという気持ちなのかは、まだ分からない。 でも、とりあえず…… 「星名くんと、友達に……なりたい 」 波打つ胸を鎮ませながら、震えそうな声を振り絞った。 これが、今の私の精一杯。 狐につままれたような、ぽかんとした顔で私を見ると、下津くんはフッと笑みを浮かべた。 「だってさ、湊くん 」 焦って後ろを振り返ると、トイレから戻って来た星名くんが立っていた。
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