わたしの師匠は、優しくない。

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「こんにちはー、お邪魔しまーす。お届け物でーす」  ……あ。  長内(おさない)さんだ……。  うとうとしかけた頭が少しはっきりして、もたれてた所から身を起こす。 「……あ!千都ちゃん、ごめん!」 「……へ?」  なんで、謝られてるんだろう。  変な格好で寝かけてた?  それか、ヨダレたれてたとか?! 「ごめん壮介、本当にお邪魔だった。ご休憩中のところ、失礼しました」 「邪魔じゃねえ!ご休憩でもねえ!ってか休憩に無意味に『ご』を付けんな!!」  長内さんが神妙に言ってるのに、何故か先生は怒鳴った。怒鳴り声が体を通ってびりびり響く。 「うっわ、せんせーこわーい……無意味なら別に何付けたって良くなーい?……あれ?千都ちゃん、それ、壮介の?」  ふざけてた長内さんが、崩れ掛けていたのを座り直した私の持ってる湯呑みを見て、意外そうに言った。 「あ、はい。今日はこれで飲め、って。」 「ふうーん……」 「何だよ」  長内さんはニヤニヤしてて、先生はなんだか嫌そう……なんで?まさか、湯呑みを取り替えたら間接キ……  馬っ鹿じゃないの?!  ほんと、暑さで頭おかしくなってる私……そんなの今どき小学生でも言わないから!! 「千都ちゃん?」 「はいっ?!」  長内さんが私と湯呑みを交互に見比べて、にっこり笑った。 「……備前の七不思議って、知ってる?」
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