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「やってらんね、ウルに会いてぇ……」
手を止め、はぁ……と溜息を吐く。
流石に図太い己も疲れてきたし癒しが欲しいと、自身の最大の癒しに想いを馳せた。
が、それをするには何分タイミングが悪かった。
「へぇ、真面目にやってんなって思ったら、女の為か?」
「あ?」
嫌味たらしい声に入り口を振り向けば、馬鹿にしたように笑う男が一人。
ノックすらしないでズカズカと入室してきたのは、生徒会長と並ぶ権力者である風紀委員長、園生陏。
右側に流しがちの短い髪と、つり目がちだが整った顔は爽やさを醸し出すが、ニヤニヤとした意地の悪い表情が全てを台無しにしている。
一言で言うと天敵である。
「よぉ、思ったよりピンピンしてんなぁ?」
「当たり前だろ、この程度どうってことねーよ」
いやしんどいけどな、しかし限界ではない。
おい、今舌打ちしながらつまんねーの、って言わなかったかこの男。
園生は仕事に関しては真面目だが、何分面白い事が大好きな残念男である。
園生に言わせれば見た目こそチャラいのに真面目な俺は、面白みのない男らしい、知るか、こちとら昔の自分を出さないようにどんだけ苦労してると思ってるんだ。
面白くない、という理由で突くように嫌味を言われ暇つぶしに絡まれるので、俺はこの男が好きではない。だって面倒だもん。
そして、本音を言うと短くてもわかるサラサラの髪質と、黒髪が似合う所や鋭い目が気に食わない。
そうだよ羨ましいんだよ、悪いか。
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