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「ウル〜お前はまじで癒しだわ……」
数日ぶりの自室に入るや否や、その一角にある大きい水槽に張り付く。
その中にある土管の置物から、ゆったりぽやんとなんとも言えない表情の顔だけを出しているのは、最愛のウル。
種類はウーパールーパーだ。
ピンクがかった白い身体に、頭の左右にひらひらと揺れる外鰓、短めの手足。
全てが可愛くてたまらず、思わず笑顔になる。
ちなみに水槽には大きな毬藻が転がっており、俺が好きだと言ったのはこの毬藻である。
「あーまじでこの何にも考えて無さそうでいて、実は考えてる様ででもやっぱり考えて無さそうな間抜け面まじたまんねぇ」
貶している様に聞こえるが、俺の中では紛れも無く褒め言葉である。
そうしている間にも、人影を見て餌の時間だと思ったのかのそのそと土管から這い出し寄ってくる。
水槽に手をつき仁王立ちする卑しい所もまた可愛い。
いやまじ可愛いまさに天使。
「ウルの為ならまだまだ頑張れるわ」
そうなのだ。
こうやって真面目に生徒会長の仕事をやっているのは偏にウルの為である。
自室に置くにしても二人部屋だとウルに余計なちょっかいを出される可能性もあるし、室温や湿度の管理が難しくなる。
その点、生徒会役員は一人部屋。
ウルにとって最適な空間を整えてやれる。
その為にリコールされる訳にはいかない。
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