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真理の記憶
高橋真理はいつもの様に自分のベッドで目を覚ました。
頻繁に見るその夢……。それは彼女の経験したものでは無かった。それは……?
「また、友也の夢だ……」
その記憶は月数回の頻度で真理の夢に現れた。
そして『彼』を想い出し、彼女を切なくさせる。
「貴方の『夢」を……私に伝えているの……?」
真理はそう考えながら、まだ微睡んだ眼を擦るとベッドから起き上がった。
時計を見ると七時を廻った所だ。この夢の所為で早く起きてしまった。
真理はパジャマを脱ぐと鎖骨の下から胸の中央に大きく刻まれた傷跡を見降ろした。
「友也……、まだ……私の心に……?」
真理はそう呟いていた。
着替えて階下に降りると、母の和枝が朝食の準備をしている。
「あら、真理。今日は早いのね?」
基本は寝坊気味の真理が早く起きると母はいつもこんな反応だ。
「いいでしょ。偶には……。ねぇ、お父さんは?」
「今日は出張だって……早く出掛けたわ」
真理はふーんと言いながら母の朝食の準備を手伝った。
今日は大学を休んで定期検診の行く日だ。それでも出掛ける時間まで余裕があった真理は、母に今日の夢のことを話した……。
「お母さん、私、また友也の夢、見ちゃった……」
母の箸が止まる。彼女も真理が友也を忘れられないのは正しいことなのか分からなくなっていた。
「また、はやぶさの夢……?」
「うん」
「彼は本当に宇宙が好きだったのね?」
母の問いに真理が大きく頷く。
「そう、サッカーとそして宇宙が……彼の夢だったの……」
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