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「君は? 君も元気そうだよね? 名前は? 」
突然、名前を聞かれて私は更にドキドキしていた。
「えっと……真理……私の名前は高橋真理。私は心臓の病気なの。多分、心臓移植しないと治らないって」
彼は驚いた様に私を見つめた。
「そうか……お互い大変な病気なんだね。俺は小山内友也。友達になってくれる?」
そう言うと彼はボールを左手に持ち替えて右手を伸ばした。
私は彼の手を取って頷いた。
「うん、友也君。ありがとう。お願いします」
彼が満面の笑みで大きく頷いてくれる。
また私の心臓が性能を超え(ドクン!)と打った。
これが友也の最初の出逢いだった。それから毎日の散歩がとても楽しみになった。
友也は毎日やって来て、ベンチの隣に腰を降ろして色んな話をしてくれる。彼は高校サッカーのエースで、県大会の準優勝チームのキャプテンだったこと。でもサッカーは高校迄で、大学に入ったらもう一つの夢を実現したいと思っていること。
それはロケット工学の勉強をしてロケット技術者になること……。そして宇宙を目指すことだった。その為にも脳腫瘍と戦って絶対完治させると彼は力強く言った。
彼は深刻な病気を持っていると思えない程、明るく前向きで本当にキラキラしていた。
私はそんな彼に少しずつ惹かれていった。
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