友也との出逢い

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友也との出逢い

 私はその時、十七歳、高校二年生だった。 でも私は普通の女子高生ではなかった。心臓に大きな持病を抱えていた。  それは『拡張型心筋症』……。  父の仕事の関係で小学校までアメリカで暮していた。アメリカでの六年間を元気に過ごした私だったが、日本に帰国して中学校に進学後、この心臓病が突然発症した。  そして発症から最近までは内科的治療で病状の進行を抑えて普通に学校にも通えていたけど、二週間前に学校で倒れて緊急入院してからはずっと病院で暮らしている。  今日、私は両親と一緒に主治医の田中先生から病状の説明を受けた。 「拡張型心筋症が大きく進んでいる。残念ながらこれまでベーターブロッカーやアンギオテンシン阻害剤で抑えていた進行を止められなくなっている。真理君の心臓はあと一年持たない可能性が高い」  両親が息を呑む声が聞こえた。 「まずは心臓の負担を抑える為、入院を継続して安静を保つこと。そして時期を見て埋め込み型の人工心臓の手術をさせて欲しい。その間に心臓移植のドナーが現れるのを待つことになる」  田中先生は真剣な眼差しで、でも私にも分かり易く説明してくれた。  横で母が涙を流している。  父も大きく目を見開いている。  でも私は思いのほか冷静だった。 「先生、説明してくれてありがとう。でも私は余命宣告を受けたんじゃないわよね。だから、まだ充分希望があると言ってくれたと思っている。これからも治療を頑張るからサポートをお願いします」  私は田中先生に大きく頭を下げた。
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