九.

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 その部屋でされていた話の内容は、私は知らない。 『それでは失礼いたします』 「……、はい」  三木さんの声で我に返り、返事をすると電話を切った。受話器を元に戻してつぶやく。   「……まさか、ね」  そうであってほしくない。  私はそんなふうに願いながら、受話器の上に置いた手に少しだけ力を込めた。 ◇
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