三.

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 本来は、他の構成員たちも“いらっしゃいやせ!”って出てくるんだけど、今日は仕事じゃないから、紅季さん以外の人はたとえ私が来たことを知ってても出迎えにはこない。  と、木の床をスリッパで歩くような、パタパタという軽い音が聞こえてきた。 「いらっしゃい、柚菜さん」  そういって顔を見せたのは、眞王さんのお父さん、紫王さん。  薄い紫色のような、灰色にも似た長髪が美しい。  紫王さんはいつもの青っぽい着物だ。黒と金の帯が映えている。
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