五.

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 紫王さんならきっとそんなこと言わないよ。あの人はきっと、私がこうしたいって言ったらいいよって言ってくれる。 「何度も言いますが、私は父とは違って――」  その言葉で、私は椅子から勢いのままガタンと音を立てて立ち上がる。  後ろに下がりきれなかった椅子は背もたれから倒れて、鈍い音を発した。  それを耳で聞きながら、私の目は眞王さんを見つめる。
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