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視界の端で、三木さんが椅子を立て直しているのが見える。
表情は相変わらずいつものすました様子だけど、唇をかんでいるからどうしようかと思っているかもしれない。
「私は、眞王さんの許嫁で婚約者なんですよね」
「柚菜さん」
私が怒ったと知った眞王さんが、止めようとして立ち上がる。
もうだめだ。かりそめの許嫁関係とか、どうでもいい。私には私の人生がある。
眞王さんが、私が成人するのを待つ二十年間無駄にさせてしまったけど。
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