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二.
その日も、私は朝から正座をしていた。
もう十月。秋真っ盛りで、きれいな紅葉の景色が窓の外に広がっている。
「……しびれる……」
まったく、朝っぱらからなぜ私はこうやって自分の体力と精神を削らなければいけないのか。
「柚菜さん」
「はい」
あ、お母さんがきた。
いつ見ても誰かの葬式にでも行くんですか? みたいな黒い着物をきている。せめて模様のあるものにしてほしい。
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