六.

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 わざと髪の毛も背中に流して、眞王さんによせてきてる。  それがなんだかおかしくて、でも紫王さんの優しさなんだと思ったら、誰も見ていないのなら、彼にすがるのもいいことのはずで。 「……なら、お言葉に甘えて」 「うん。おいで」  その“おいで”は、子供に対してのものではなくて、愛しい人に向かって呼びかけるような、少しねっとりした、熱をおびたものだった。
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