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それでも、紫王さんの私の頭を撫でる手は、とても大事にされてるのが伝わるようなゆっくりしたスピードで、いつまででもそうしていてもらいたくなる。
「柚菜」
紫王さんの、眞王さんとは違う低い声が耳に響く。
わざと、私の耳に口元を近づけてるんだ。ずるい。
紫王さんは知ってるはず。私が、これまで23年のあいだ、眞王さんがいるからと恋愛をしてこなかったこと。
だから、こういうのに弱いってこと。ましてや、眞王さんだってしたことがないこと。
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