六.

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 紫王さんがはじめての恋人だったなら、どんなに良かっただろう。  眞王さんと同じくらい優しくて、こうやってスキンシップもしてくれて、恋人らしい扱いをしてくれて。  すべてが魅力的で、眞王さんを上回っている。  年の功、というものもあるかもしれないけど。  五十三歳という年齢を感じさせない、紫王さんの甘い言葉に、私はいつの間にかうなずいていた。  誘惑されるように、名前が私の口から出る。
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