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周囲は父を好きになる人ばかりだった。
柚菜さんもそうだと思った。でも、許嫁は私だからなのか、いつも私のほうを向いてくれている。
一条家というものがあるからなのか、許嫁を破棄するなどこれまで言ったことがなかった。
「……あんなことを言わせてしまったのは、私が悪いのです」
「眞王様……」
そんなしんみりとした空気なのに、紅季は相変わらず食事を続けていて、今は松阪牛のステーキを頬張っている。
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