七.

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 周囲は父を好きになる人ばかりだった。  柚菜さんもそうだと思った。でも、許嫁は私だからなのか、いつも私のほうを向いてくれている。  一条家というものがあるからなのか、許嫁を破棄するなどこれまで言ったことがなかった。 「……あんなことを言わせてしまったのは、私が悪いのです」 「眞王様……」  そんなしんみりとした空気なのに、紅季は相変わらず食事を続けていて、今は松阪牛のステーキを頬張っている。
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