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紫王さんは私を離したあと、そのままそばの机に向かうと、机上においてあった携帯電話を掴んでまた戻ってきた。
「これ、俺の携帯。柚菜の連絡先、入れて」
「……、……えっ?!」
私は驚いて、差し出された黒い携帯と紫王さんの顔を交互に見る。
紫王さんは、仮にも……紺之宮家の当主なんですけど。当主ってトップなんですけど。
トップの連絡先を知っているなんて普通は幹部レベルか運転手さんくらいだし……。親子でもなければ。
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