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「かずかず、凶器の調査は慎重にね」
「分かっちょるわいね、本市さん」
ぬかるみの中にはさまざまなトラップが待ち受けている。
本市が訪れたこの山村は、害虫から畑を守るために、クモやハチュウ類などを放し飼いにしている習慣が平安時代から続いていた歴史があった。そのためにオオサンショウオなどの天然記念物や、アカハライモリにオオヒキガエルといった猛毒のハチュウ類も繁殖しているので、誤って触ってしまうと猛毒で死んでしまう。
ハチュウ類や虫だけではない、人間が手入れ出来ない夾竹桃という猛毒植物がほくほく生えているので、そちらも近付かないように注意が必要だ。
「遺体と凶器は、ちゃんと分別して欲しいよな」
本市は、ぬかるみから見える自転車のハンドルや折れた釣り竿、骨が折れた傘などを見てそう呟いた。
「前者は遺体遺棄。後者は不法投棄、どっちも犯罪よ。早く犯人を探さないとね」
かず子は、ぬかるみと化した放置池の中に足を踏み入れた。
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