プロジェクトK

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 「生物調査終わりっ! 結構生き物がおるわね」  「さすが、かずさん。犯人をつかみどりして来た体力は伊達じゃないね」  和美は、水槽に入れられたコイやドンコ、ヌマエビなどを眺めてそう呟いた。放置池の中に、これだけの生き物が棲んでいたのも驚きだが、池のヌシたちを素手で捕まえたかず子の体力もさすがと言わざるを得ない。  「さて、今回の殺人事件は、犯人はこの村に伝わる神隠しの言い伝えを、巧みに利用して、被害者の遺体と凶器を消すトリックを使っとる」  本市は改めて、ズボンのポケットから、オレンジシガレットの箱を取り出すと、一本を口にくわえた。ほのかなオレンジのフレーバーが口の中に広がる。  「本市さん、ここは喫煙禁止なんだけど」  「喫煙はしとらんよ。菓子を食べとるだけ。作家的にはオレンジシガレットをくわえるシーンは、喫煙シーンには該当しない」  「ならいいけど。で、推理の続きは?」  紛らわしいと思いながら、和美は本市に推理の続きを促した。  「犯人は被害者を殺害したあと、この誰も入りたがらない放置池に遺体と凶器を放り投げ、今日まで放置していた。所謂放置プレイという奴よ。その根拠はこうじゃ。犯人はわしが『池の水を全部抜こう』と言うた時、祟りに遭うからやめてくれと言った人物」  本市は田舎の村長の方を指差した。  「そう、山田さん。犯人はあんたよね。放置池に遺体があることが知られるとまずいから、池の水を抜くことに猛反対したんじゃないんかね、動機は......かずかずパス!」  「ここでパス? じゃあ、お言葉に甘えて動機はみっちり、署で聞かせて貰います!」  和美は、村長の山田に歩みよる。  「ちょっと待て、私がやったという凶器はまだ見つかってないだろう。凶器を発見してから、私を逮捕してはどうかね」  「確かに、まだ凶器は見つかっていませんね。見つかったら逮捕していいんですね。和美さん、クレーンで池の金属ゴミをひっかき集めましょう」  かず子は和美にそう提案した。
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