第1章 Fall case

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「エイダとは確かにいい雰囲気になったけれど恋人ではないな、たぶん。」 「そうか、いやそう言う事ならいいんだ。なるほど、留学生か。」 「コウ、ジョンが来た。誤解が溶けたところで宇宙船の話に戻さないか?」 「おお、そうだな。」  オカルト研究部の心臓、ジョン・レイエスが輪に加わる。きっと何か情報を掴んでいるはずだ。ジョンなら国の事故調査委員会より先に宇宙船の破片を手に入れている可能性すらある。 「あけましておめでとうゴザイマス!何の話をしていたんだい?」 「宇宙船の話だ。あとレンのところに滞在している留学生の話だ。宇宙船墜落の翌日からレンはハリウッド美少女とご機嫌な感じだったんだぞ。」 「それは興味深い、その少女の特徴は?」 「この後教室に来る予定だよ。まあ特徴を上げるなら銀髪碧眼で長髪長身の美人だよ。確かに浮世離れしてるけれど仲良くしてやってくれ。」 「なんてこった、その特徴は・・・、いや何でもない」 「どうしたジョン。」  ジョンは何かを察した様子だった。エイダの特徴に意味でもあるのか?そういえばジョンもアメリカ出身だった。アメリカ社会で何かカテゴライズされているとか、差別の対象になっているとか、そういう感じだったらまずい。そしてもしそう言う事ならエイダは無理して心機一転日本デビューを装ったのか。なんとなく深入りするとまずそうだ。そんなもやもやした会話をしていると先生が入ってきた、エイダも一緒だ。教室中が色めき立つ。無理もない、エイダのインパクトは身をもって経験している。 「全員着席!新年あけましておめでとうございます。今年からこのクラスで一緒に学ぶ留学生を紹介します。来栖君の家にホームステイしているアメリカから来た女の子です。エイダさん、自己紹介どうぞ。」 「ありがとうございます。私の名前はエイダ・ミラー。昨年末に東京湾に墜落した宇宙船の生き残りです。」  エイダはまっすぐ前を見ていた。堂々とした態度ではっきりと発言したのだ。墜落した宇宙船の生き残りだと。嘘は言わないって約束だったじゃないか・・・。                    *  レンは動揺した。とんでもないバックグラウンドを抱えた女の子とここ数日一緒に過ごしていたのだと。本当ならエイダは動くオカルトのホットスポットの中心だ。そしてジョン・レイエスもまた動揺した。なぜなら彼には使命があるからだ。 Mail to Rebellion:『こちらリンクス8、上位バイオロイドを発見した。抹殺対象です。』
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