皇女サマはお年頃

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「ステキねえ……。これ、いくらしたの?」  金額を訊くのも野暮(やぼ)だが、彼がムリをして高価なものを買ってくれたのだとしたら、リディアとしては何だか申し訳ない。 「三ガレです。高いものではありませんが、俺からあなたに何かを贈ったことが、今まで一度もなかったもので……」  ちなみに、レーセル帝国の通貨では銅貨が一ガレ、銀貨が一〇(じゅう)ガレ、金貨は一レンスとなり、一レンスは一〇〇(ひゃく)ガレに相当する。 「リディア様によくお似合いだろう、と思って。――ほら、リディア様は、こういう時のための髪飾りをお一つしかお持ちではなかったので……」  頬を染めながら弁解するジョンは、さながら思春期の少年のようで。照れはたちまち、リディアにも伝染(でんせん)した。 「それがデニスから贈られた、あなたの宝物だということは分かっています。ですが、俺が贈ったものも、時々で構わないので使って頂けないでしょうか?」
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