皇女サマはお年頃

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「あ、デニス! ご苦労さま」  すると、彼の声がちゃんと聞こえていたリディアの方が、デニスに気づいてくれた。 「あ、ああ……。えっと、南の宿のおかみがプレナの出身なんだってさ。だから、そこに泊まることにした」 「でかした,デニス! ――ではリディア様、参りましょう」 「ええ」  リディアとジョンの間の甘酸(あまず)っぱい空気は相変わらずで、デニスは何だか面白くない。 「なあ、リディア。――オレが離れてる間にジョン(アイツ)と何かあったのか?」  嫉妬(しっと)心むき出しで、デニスが問うてきた。 「え? 何かって……。ステキな髪留めを買ってくれたから、嬉しかっただけよ」  変な勘繰(かんぐ)りをしているらしい彼に、リディアは事実のみを打ち明ける。
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