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序 章 ――皇女と二人の幼なじみ――
――三人は、幼い頃からいつも一緒に過ごしてきた。
デニス、ジョン、そして……皇女・リディア。
リディアはこのレーセル帝国の現皇帝、イヴァン・エルヴァートの一人娘にして、第一皇位継承者。つまりは、女子でありながら次期皇帝という身である。
この国では今まで、女性の君主も当たり前のように君臨してきた。それは皇族と国民の距離が大変近しく、たとえ女帝であっても広い心で受け入れる国民の寛大さゆえのことだった。
そして、デニスの父もジョンの父も、イヴァン皇帝に仕える兵士であったため、三人の子供達は身分を越えた「幼なじみ」の関係になったのである。……それはさておき。
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「――ねえデニス、わたしにも剣術を教えてくれない? それから、体術も」
それは、三人が十二歳になった頃の春のこと。
お忍びで町娘の格好をしたリディア姫が、幼なじみのデニスにそう頼み込んだのだ。
デニスは十歳の頃から、元帝国兵が開いている剣術鍛練所で剣術を習っていたのだが。
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