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「諦めちゃ駄目だって! 私が手伝う意味がなくなっちゃう」
「俺はただ、あの子の迷惑にならないようにできれば、と」
もじもじと指を動かしている。なんていじらしい。何故か私の方が一生懸命になってしまっている。
「だからその考え方が暗いの! やると決めたら覚悟しなさい! そもそも告白する時点で超迷惑なんだから」
「じゃあ止める……」
「止めないの!」
犬井くんは見た目より小心者だ。犬っていうより子犬って感じ。
告白は出来るのに二人きりで喋れないというのがよく分からない。彼の恥ずかしさの基準は私とは大きく異なっている気がする。
数時間あれこれ考えて、一歩進んで一歩戻っての繰り返し。安請け合いしたものの、私自身が恋愛経験ゼロということを全く視野に入れてなかったと今更気付いた。
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