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そうして表面上は静かに冬を越えた。
拓真のいるサッカー部も、国立を目指して戦ったが県大会準決勝で敗退。野球部とのアベック出場とはならなかった。
(そういえば、アベックって何だろう? と拓真はふと思う。)
シーズン中はあまり他のことを気にする余裕はなかったので、2年生の終わりになって、拓真もようやく圭一郎たちの状況を知る。穂高が秋の大会後に腰を痛め、冬から春にはかけてはほとんど投げられていないとか。春季大会から復帰出るかどうか、微妙なところだという。
相変わらず、部活や相棒のことは何も言わない左腕の、いつもの馬鹿話に付き合いながら、拓真は待っていたような気がする。
何かを。
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