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祖国メアーナでは、花に囲まれ愛らしく笑うアリーチェは心優しく賢い王女だった。
城の皆から愛され、しっかり者の彼女は勉強熱心で困ってる人々に手を差し伸べては自然や生き物をこよなく愛し、普段から皆に優しかった。
メアーナ王国の未来は平和で、安泰だと誰もが口々に噂していた。
一緒に捕らえられた臣下たちは無事かしら……自分の空腹を我慢し少ない食料をくれたレオンも、吹きつける雨風の盾となってわたくしを寒さから守ってくれたスルガ、ああ……心配なのはアルーシオだわ。
一番高齢のおじいちゃんだもの。
怖い人たちに酷い目に遭わされたりしてないかしら。
どうか、どうか——皆無事でいて!
(かみさまお願いします!お願いします!! どうか皆を——)
ぽろぽろとアリーチェの瞳からとめどなく涙が零れ落ちる。
両手で顔を覆い肩を引っ切り無しに震わせた少女を王は不憫に思い、自分が身に着けていたマントをすっぽりとアリーチェに被せると言った。
「あいにく私は帰国途中で、こんな物しかないが使うがよいぞ。辛かったであろう……こんな幼子が皮膚に一生消えぬ傷をつけられあんな大衆の目の前で見世物にされたのだ。どのような経緯かはわからぬが、わたしはそなたが息子の遊び相手と世話係の仕事を全うしてくれれば、むやみにお主を傷つける事はしない。だから安心しなさい。ハミルトンまで道中はまだ長い……それまでゆっくり休まれよ姫」
男性はそれ以上何も話さなかった。
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