―期待―【デュオ】

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 その時、パーンという音と同時にデュオの左頬(ひだりほほ)に王の平手が飛んできた。 事が起きた後、デュオはとてもびっくりした表情で父の姿を見やった。 「なんと!それでも次期国王か!もうよい、この分らず屋が」 国王は厳しい表情でデュオを見た。 「デュオ、言い過ぎですよ。お座りなさい。お行儀(ぎょうぎ)が悪いわ、カリフを見習いなさい。父上の言ったことが聞けないのですか?あなたは留守番なの」 エマ王妃は白い布で口元を(ぬぐ)うと、何食わぬ顔で話し始める。 「なんで……」 「なんでじゃありませんわ。これは陛下とわたくしで話し合って決めた事よ」 「…………」  デュオと両親のやり取りにカリフは、ハラハラと落ち着かない表情で互いを交互(こうご)に見た。  「みんな怒らないでよ……今日は折角(せっかく)家族が久しぶりに(そろ)った日なのに」 おろおろとカリフは不安な表情を浮かべた。 (いつも、いつもそうだ。家族が揃うと、いつもぼくだけ何故か取り残された感じがして、壁が出来る。父上も母上もカリフにだけは甘く、何かする時はいつもぼくだけが蚊帳(かや)の外なんだ)
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