―王子と奴隷娘―【デュオ】

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 カリフがアリーチェに近づいて「ぼくはカリフよろしくね」と手を差し出す。 その(さわ)やかで可愛(かわい)らしい笑顔をみたアリーチェは(ほほ)を赤らめ、 「あ、はい。よろしくお願い致します、カリフ様」と笑顔で答えた。  その様子を横目で見ていたデュオは、アリーチェが見せた初めての笑顔に一瞬息がとまった。 (か!かわいくなんかない!誰がこんなぼろ女。城には大人の召使いしかいないからな、た、多分そのせい……)と意味のわからない緊張感(きんちょうかん)にデュオは平静(へいせい)(たも)つのがやっとだった。 この気まずい空間からデュオは早く抜け出したかった。  「おいカリフ、そんなぼろ女放っといてさっさと行くぞ。おい奴隷!ぼくの部屋を綺麗に片付けておけよ!」   そう言ってドアの方へ向かう。 「うん! 待って兄さん。あ!おねえさん、後で名前を教えてね」とカリフは言い残しデュオの後を追った。
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