眼刺し、もとい眼差し

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   もうお前ら一緒に住めばいいじゃん。家賃浮くじゃん?  よくそう言われるけれど、それだけは絶対に嫌だ。  面倒くさい親友にスペアキーを奪われた時点で諦めていたけれど、気まぐれにやって来て我が物顔で寛ぐそいつははっきり言って邪魔だ。  空気のように扱うには存在感があり過ぎる。学生の安家賃の狭い部屋にこの態度も体格もでかい大男が居ると、寒い冬ですら暑苦しい。体格で言えば自分の方が背は高いから人のことは言えないけれども、ここは俺の部屋だ。  この親友はとにかく何事も面倒くさい。  どこでなにをしていても面倒くさいほどの存在感を発揮する。見ていて面白可笑しく飽きないけれど、矛先が自分に向くと面倒くさいしか残らない。  俺の部屋で自分の時間を過ごしていてくれている分には手が係らない。  誰かに構ってほしくなられたら、相手をするのは俺しか居ない。放っておくとすぐ拗ねる。  ややこしい拗ね方をされた時のために最近良い手を思いついたが、まだ一度も実行はしていない。  流石に少し可哀想な気もする方法だからだ。
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