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1度だけ死のうと試したことがある。 部屋のドアノブに輪を作ったロープを引っ掛け、それを上に流し表側に持ってくる。 椅子の上に立ち、首にもうひとつの輪を掛け、勢いよく飛び降りた。 しかしこれは失敗に終わる。 _彼女に、優菜に見つかったんだ。 だから成功できなかった。 そのせいで私はこの病院に入れられる、病院という名の檻に。 ここにいれば私は死なないとでも思っているのだろう。 そんなの分かるはずがないのに。 ホワイトボードに書かれた文字を消していく。 跡形もなく、真っ白に。 人生もこんな風に全部消えてしまえばいいのに。 苦しいのにずっと残っていたって楽しいことなんて何も無い。 簡単に手軽に消えて、また復活することが出来て。 そっちの方が何倍も何十倍も幸せになれる。
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