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「で、話とはなんだ?」
二人きりになると、ルアンが口火を切った。
「実は昨日頂いた薬なんですが、天堂家と取引して頂けないかと」
「天堂家か。リョウスケのラストネームが天堂だったな。しかし、お前の実家は造船業ではないのか?」
「僕は天堂家に輿入れしている身なんです。そこの主人が貿易商でして」
「輿入れとは結婚のことか?」
頷く遼祐に、ルアンは腕を組んでソファに凭れかかった。考え込んでいる様子に、すでに取り引きを他の所としてしまったのだろうかと不安が過る。
「もしかして、もう決まってしまいましたか?」
不安を口にするも、ルアンは首を横に振る。
「いいや。そうではない」
では何を悩んでいるのだろうか。遼祐が困惑していると、ルアンが身を起こす。器用にティーカップを口にしてから、小さく息を吐きだした。
「俺としてもその話は有り難い。取引先は多い方が良いからな」
「本当ですか」
思わず遼祐は身を乗り出すも「だがな」と言って、ルアンは鋭い瞳を向けてくる。牽制するような一言に、遼祐は息を呑む。
「何か問題でも……」
「リョウスケは良いのか?」
「えっ?」
何故、そんな事を聞いてくるのか分からず呆気に取られる。
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