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「不躾な質問かもしれないが、どうして結婚しているのに番ではないのだ?」
如何してなのかと問われても、どう答えてよいのか分からず遼祐は黙り込む。まさかそこを指摘されるとは思ってもみなかった。
「日本では結婚していても、番にはなるべからずと御達しでもあるのか?」
言葉が詰まって出てこず、遼祐はただ首を横に振る。
「抑制剤がないのであれば、番という手段が最適であるはずだろ。番にさえなれば、その相手にしか発情しなくなる」
「……分かっています」
「理由でもあるのか?」
「僕にも分からないんです」
膝に乗せている拳に視線を落とす。自分だって早く番として役に立ちたかった。でも光隆がそれを拒絶している以上は、どうすることも出来ない。
「他人の家庭に口出しするべきじゃないことは分かっている。だがな、俺は信用出来る人間と取引がしたい」
最もな意見に、俯くことしか出来なかった。
「でも、リョウスケがせっかくここまで足を運んで、手土産まで持ってきてくれたんだ。話だけはしに行こう」
「良いのですか?」
驚いて顔を上げると大福を口に放り込み、口元の毛を大福の粉で汚すルアンの姿があった。
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