10

7/9
前へ
/62ページ
次へ
「ルアン様。お持ちしました」  湯気の上がっている盥と、包帯などを抱えたカルダが戻ってくるとルアンが振り返った。 「カルダ。部屋を用意しろ。リョウスケを番にする」 「ルアン様。リョウスケ様にはすでにお相手が――」 「そんなことは分かっている!」  苛立ちを滲ませたルアンが怒鳴り声を上げた。 「責任は全て俺が負う。リョウスケにこんな思いはもうさせない」  抱きしめてくるルアンの腕の力が強まった。 「リョウスケ様。本当によろしいのですか?」  カルダに問われ、遼祐は震える声音で「お願いします」と頷いた。  足の治療を済ませるとルアンに横抱きにされた遼祐は、そのまま部屋へと運ばれた。  いつもの応接室のような場所ではなく、寝台の置かれた一室だった。広々とした寝台の上に降ろされると、すぐさま遼祐の上に影が覆いかぶさった。  ルアンの首の後ろに腕を回すと、貪るように唇を奪われる。 「舌を出せ」  言われた通りに舌を差し出すと、厚く長い舌が絡みつく。初めての感覚に無我夢中で縋り付いた。 「ふっ……んっ」  大きな掌が着流しの袷から差し込まれ、熱く火照る身体を撫でられていく。電気が走ったように全身が震え、下腹部にもどかしさを感じる。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

292人が本棚に入れています
本棚に追加