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「ルアン様。お持ちしました」
湯気の上がっている盥と、包帯などを抱えたカルダが戻ってくるとルアンが振り返った。
「カルダ。部屋を用意しろ。リョウスケを番にする」
「ルアン様。リョウスケ様にはすでにお相手が――」
「そんなことは分かっている!」
苛立ちを滲ませたルアンが怒鳴り声を上げた。
「責任は全て俺が負う。リョウスケにこんな思いはもうさせない」
抱きしめてくるルアンの腕の力が強まった。
「リョウスケ様。本当によろしいのですか?」
カルダに問われ、遼祐は震える声音で「お願いします」と頷いた。
足の治療を済ませるとルアンに横抱きにされた遼祐は、そのまま部屋へと運ばれた。
いつもの応接室のような場所ではなく、寝台の置かれた一室だった。広々とした寝台の上に降ろされると、すぐさま遼祐の上に影が覆いかぶさった。
ルアンの首の後ろに腕を回すと、貪るように唇を奪われる。
「舌を出せ」
言われた通りに舌を差し出すと、厚く長い舌が絡みつく。初めての感覚に無我夢中で縋り付いた。
「ふっ……んっ」
大きな掌が着流しの袷から差し込まれ、熱く火照る身体を撫でられていく。電気が走ったように全身が震え、下腹部にもどかしさを感じる。
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