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「待っている」と、その人は言う。  長い髪を持った美しいヒトである。  裸体であったが、男なのか、女なのかは分からなかった。  前々から、それこそ、物心がついた時分から、ノズチが時折見る夢だ。  その人は、ノズチの首筋から肩にかけてを指の爪の先でツウッとなぞる。  爪の触れた後には、肌に赤い線が描かれる。うっすらと血が滲む。  その人は、それを見て微笑む。  夢はいつもそれだけだ。
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