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「笹井さん、どうぞお座りください」
と機械的な声が想像以上に冷たく
二人次の言葉を待つ。
「笹井、お前…」
「どうしてこんなになるまで放ってた」
とパパを見た目は遠くを見ていた。
後から聞いた話で分かった。先生とパパとは高校の同級生のようだった。
「あとどの位だ」
「入院して…長くて半年」
ーー半年…
我慢しなきゃと頑張ってみても
わたしの思いとは裏腹に崩壊した涙腺。
「パパ…」
パパを見ても視線を合わせようとはせず
医者から視線を外すことなく
「在宅でやるよ」と静かな口調。
「在宅だと…せいぜい三ヶ月。ふた月持たんかも知れない。とにかく薬をきちんと飲めばの話だがな…」
「時間じゃない。最後は家族と一緒に…その思い出の中で自分の人生を終わらせたいんだ」
「ありがとう、やっぱり親友じゃないとな。気を遣って欲しくないからな」
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